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タロットカード①

『…あなたのカードは、お坊さんなの』




とあるマンションの一室。

お香が焚かれ、若干薄暗い部屋には、占い師と僕の二人。

目の前にいる占い師は、お坊さんの絵が精密に書かれたタロットカードを自分の顔に近づけて、僕にそう伝えた。



ーーーーーーーーー


その占い師との出会いは去年の夏。

職場近くの喫茶店でのことだった。





いつものように仕事でポカをした僕は、お昼にその喫茶店に寄るのが習慣になっていた




ママさん『ごはん?それともコーヒー?』

だいちょ「ごはんで!きょうは何があります?」

ママさん『そうねぇ…まかないのカレーがあるから、食べていってよ。わたし、痩せてる子やお腹空かせてる子を見るといっぱい食べさせたくなるのよ(*´ω`*)』



ママさんはひょろひょろの僕を見ると、いつも嬉しそうにそう話す


僕も痩せの大食いなので、とてもありがたい

もちろんまかないのカレーを注文

しばらくすると目の前には、刻んだ野菜とひき肉ががたっぷり入ったルーに半熟の目玉焼きが載ったキーマカレーが出された

野菜の甘みとひき肉がのうま味が詰まったスパイシーなルーが、夏の暑さを忘れさせてくれる。大量の汗と一緒に、身体に溜まった老廃物やストレスも流し出してくれるようだった



あぁ、やっぱりここのご飯はおいしい。







カレーをたいらげ食後のアイスコーヒーを飲んでいると…どこかからひそひそ声が聞こえる。

…そして視線も。


疲れてんのかな…なんて思いながら視線を感じる先に目をやると、レジカウンターで僕をちらちら見ながら顔を近づけてこそこそ話すママさんと、40代とおぼしき女性の姿があった。

さっきまで、僕の隣で静かにお茶を飲んでいたひとだ




僕に気づいたママさんが

ママさん『だいちょ君!ちょっとこっちに来てくれる?』

呼ばれたのでレジカウンターに向かうと、ママさんの前にいた女性が電卓を取り出すやいなや、

女性『あなたの生年月日を教えてくれないかしら。あなたのことがすっごい気になるの…』






…訳がわからない。

僕のことが気になる?

生年月日と電卓ひとつでいったいなにがわかると言うのだろうか





でもママさんのお知り合いみたいだから、悪い人ではないのだろう

素直に生年月日を伝えると、女性は電卓をかたかた言わせ、出された数字を見て、僕にこう告げた




女性『あなたは…人に説明したり、お話するのがとっても上手なの』




いや…めちゃくちゃへたなんですけど。




女性『自分ではそう思ってるかもしれないけど、なにかを伝えるっていうのがものすごく得意なひとなの、あなたは。司会とかとても向いているんだけどね。でも…いまのあなたにはそのエネルギーが足りていないの』



だいちょ「…エネルギー…そうなんですか…」




女性『それでね、9月から11月までとても苦しい時期が続くの。でもね、そこを乗り越えると12月にはきっと楽になるから。だから、がんばって』





だいちょ「あの…どうしてそういうことがわかるんですか?しかも電卓だけでそんな」





女性『実はわたし、占いをやってるの。それで、わたしの悪いクセなんだけど、こうやってお茶をしてたり、街を歩いていると、どうしても気になっちゃう子っていうのがいて、わたし、声をかけずにはいられなくなるの。さっきまであなたの隣にいて、感じるものがあったから』




ママさんはお腹空かせた子には食べさせたくなり

この女性は「気」みたいなものを感じる子を見ると、占わずにはいられなくなるらしい





でも不思議と、嫌な気分にはならなかった


だいたいこの手の勧誘?とか声をかけてくる人って信用できないのがほとんどなはずなんだけど

その女性は笑顔になることもなく、占ってるときも、話すときも、終始、真剣な表情だったからなのかもしれない







彼女は『じゃ、がんばってね。ママ、ごちそうさま』とお礼を言い残し、店を出ていった






だいちょ『ママさん…あの方は…?』

ママさん「あの人はね、街で占い師をやってるひとなの。タロット占いを専門にしてる人でね。実はわたしもたまに占ってもらってるの 笑」







それが、占い師さんとの出会いだった







②へ

コンポタ缶

夜10時。

実家に帰るため、駅で電車を待つ

ちょっと小腹が空いたので、自販機でコーンポタージュ缶を購入。

ベンチに腰を下ろし、缶をしゃかしゃか振って、勢いよくスープを口へと流し込む

口の中でコーンが楽しそうにプチっと弾ける

寒いなか飲むコンポタ缶は、心を落ち着かせてくれる




一息ついてたら、大きな荷物を持った若い女の子が目の前を通った

そして、自分が座っているベンチの隣にと腰を下ろす

その子も手にコンポタ缶を持っていて、すぐさましゃかしゃかと缶を振りだした

そして缶を開け、口に含むと、『…ふぅ』と小さくため息をついた








もうすぐ電車がやってくる。

25

『ありがとう』





その一言に尽きる。しかない。





きょう、25になりました







まだまだ知らない世界ばかり。そんなんで死ねないよ。絶対に死ぬもんか。

どーよ?

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腹に力入れろ



もうすぐそこまで来ている



永松、どーよ?

キモチ

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12月になってもなお

キツい日々が続いていたけど



すこしだけ、すこしだけど

楽になれた気がする。





大物になろうとも

カスな野郎だったとしても

変わらないのは

応援したいキモチ。

柔らかい空気

おいしいカツカレーと野菜入りみそ汁とミニサラダを、ロック流れる喫茶店で、取材でへとへとだった身体に染み入る味。切り盛りされているご夫婦と、となりに座っていた常連とおぼしき女性と会話する。地元の話、そうめんの話、男女の話。喫茶店の柔らかい空気が、自分のなかで張り詰めていたものが、ほろほろほどけてゆく。

『がんばってね』

『気をつけて』

『おやすみなさい』

『ご馳走さまでした』