機械に手を挟まれたときの恐怖ー








私のやっている仕事は複雑な機械を扱う

慣れない機械作業に四苦八苦するなか、恐怖は突然やってきた

部品を取り換えているとき、商品の邪魔となる異物があったので取り除こうと、僕はガシャガシャ作動している機械のなかに左手をつっこんだ

どんくさい僕は一発で掴むことができずにそのまま機械に挟まれる形となり、すぐさま激痛が左手に走った

すぐに停止ボタンを押した

だけど機械が左手の甲にめりこんでしまい、抜けない

軽くパニック状態に陥っている僕は、あろうことか再び自動ボタンを押してしまった

機械と機械の圧でますます左手に食い込み、尋常ではない痛みがやってきた






痛みとどうすることもできない恐怖が全身を纏う






僕は腹の底から叫んだ

「…だ、誰かっー!んん…誰かっ…」

人気のない作業場に僕の叫びが響く




運のよかったことに、先輩が少し離れた所にいてくれたおかげですぐ駆けつけてくれた

先輩「どうしたん!?待ってて、今離してあげるから」

先輩が手動で機械を動かし、僕の左手はようやく機械から離れた

そのときの解放感による安堵はとてつもないものだった






とはいえ顔を真っ青にさせながらも先輩にお礼を言おうとすると、僕の叫び声を聞きつけて上司がやってきた

上司「なにがあった!?」

先輩「だいちょまん君が包装機のなかに手を挟まれてしまったんです」



口をガタガタ言わせてる自分に変わって先輩が代弁してくれた

それを聞いた上司の口から出てきた言葉はこうだった





上司「なんしおっとか!君が怪我して一番困るのは会社なんだぞ!」






上司は血相を変えてこう僕を怒鳴り飛ばした








そっか…この人は僕の左手なんかより、会社の損害の方が大切なのか…

説教されながら、僕のこころのなかでなにかが冷めるのを感じた





機械をなめてるからこーゆーことになるんだ、仕事に対する向き合い方が足りないんだ、迷惑するのはコッチなんだぞ

僕は左手をかばいながら身体を縮ませ、上司の叱責をただ浴びるしかなかった








あれから3ヶ月、青アザはなくなり、左手の傷は消えつつある

いまでもしょっちゅう生傷は絶えないけど、あの一件で機械の前では人間が無力なのを学んだ

だけど…あのとき上司から受けたこころの傷は消えることはないダろう





はさみ

はさみ