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青春23きっぷ⑤

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早朝の徳島駅。1年前からずっと気になっていたうどん屋さんに寄るため、徳島のとある町まで電車で向かう。その店の存在を知ったのは、Twitterだった。僕はたびたびTwitterの検索機能で“おいしそうなもの”を探す。それは「豚骨ラーメン」だったり「チキンライス」だったりと、そのとき食べたいと思ったものを入力する。そして画面には“おいしそうなもの”が並び、それを見てひとり、食欲と想像力を膨らませるのであった。そのうどん屋さんを見つけるきっかけとなった“おいしそうなもの”は『きつねうどん』。澄んだ出汁とうどんの上にははみ出しそうなくらい大判の茶色いきつね、青いネギが乗っていた。それはそれは食欲をかきたててくれたものだった。あぁあのきつねを口いっぱいに頬張りたい…甘いのかな、しょっぱいのかな、いや、きっと甘めのおあげさんなんだろうな。画像とともに乗せられる文章はいつも優しく、このなかのひとが携わるうどんをぜひ食べたい!…と強くやきもきするのであった。すぐにそのうどん屋さんをフォローし、タイムライン上に表示されることとなったのである。仕事をしていた頃は徳島に来ることはなかなかないだろうなと半ば諦めていたので、仕事を失ったことは喜べないことではあるけれど、行きたいところに行ける可能性が広がるということはとても嬉しい。駅から歩いて15分ほどのところにそのお店はあった。『セルフうどんやました』の看板。合ってる。ここに違いない。ところで、九州人である僕にとっては『セルフうどん』という言葉は馴染みがない。というよりも『セルフ』とは一体なんなのか。多くの場合、セルフ+なにかしらの言葉がくっついているように思う。『セルフサービス』『セルフケア』『セルフガソリンスタンド』『セルフタイマー』などが浮かぶ。これは勝手なイメージだが、『セルフ』という言葉にはどこか寒々しいものを感じ取ってしまい、どこか好きになれないものがあった。しかし、それが『うどん』というまぁるくてやわらかさをもつ、まさにうどんそのものの言葉と組合わさるとなると別だ。『セルフうどん』。いいじゃないですか。とてもそそられる。…いけないいけない、なんのためにもならない上の空をしてしまった。いつもの悪い癖だ。少々緊張してお店に入ると、キレイに調えられた椅子やテーブル、張り出されているうどんメニューの数々。落ち着いた店内で、BGMにはラジオがかかっている。そのお店は朝10時開店で、だいちょまんがお店に入ったのは10時20分。どうやら一番乗りの様子。厨房には大将と思われる旦那さんと奥さんの姿が。あとから女性の店員さんも来たのかな。とてもあかるくて朗らかな声でだいちょまんを迎えてくれました。それでも緊張しいのだいちょまんはセルフうどん方式に慣れていないせいもあって心臓はばくばく。どのお店でもそうなんだけど、飲食店に入る前は食べるものを決めてからじゃないと迷いすぎて苦しくなる性質なのです。「さ、なにに致しましょう」来る前にきつねうどんとこころに決めていたはずなのに、いざ目の前に立つと頭はまっしろ。鳴門わかめうどん、山菜うどん、肉カレーうどん、冷たいものではぶっかけうどんにおろしうどん、讃岐といったら釜玉うどーん。あぁ~迷う~。この優柔不断!なんとか「きつねうどんお願いしますっ」と注文。すぐさま旦那さんに何玉かを訊ねられる。な、何玉…そうきたか。ここは一玉注文。するとここで、笑顔の似合う旦那さんが「もしよかったらこのなかから揚げますよ」まだ開店直後とあって、天ぷらコーナーに補充がなされてなかったのです。それで気を遣ってくださったのでした。うわぁこれまたどうしよう~ちくわの磯辺あげも食べたいし、いも天、えび天、半熟玉天、ここはやっぱり玉ねぎのかき揚げか…?いや、これに決めた!「春菊の天ぷら、お願いします!」ひとつひとつのメニューにはそっとちいさな文字でひとこと説明が書かれてあります。春菊の天ぷらの横には「自家製の畑で取れたものです」というようなことが書いてあったような。大人になると春菊がおいしく感じるんだよねぇ。目の前には出来上がったきつねうどんが差し出される。ありがたく受け取ります。春菊の天ぷらは出来上がり次第運んでくれるそう。お支払を済ませ、うどんの乗ったトレイを持って席につき、さぁいただきます!ちゅるちゅるちゅる…ズズズ…ちゅるちゅる…ムグムグ…ちゅるちゅる…サクッ…ズズズ…。こころが満たされるとっても優しいお出汁。これはいりこだしなのかな。昨日の徳島ラーメンは脳内から出る「おいしいっ!」なら、今日のきつねうどんは身体全体から発せられる「おいしい」。いかに普段の食事が化学調味料に頼りきっているか。化学調味料を否定するわけではないけれど、本当にたいせつなものがこの一杯にはこめられている。きつねも甘すぎないおいしさ、ひとくちひとくち大事に噛みしめる。揚げたての春菊の天ぷらはサックリほんのり苦うま。実は、目の前にはきつねうどんと天ぷら以外にも、奥さまのはからいでおにぎりとお惣菜をサービスしてくだすっていたのです。さかのぼることお代を支払う前。レジ担当だった奥さまに対して、だいちょまんはこのお店をTwitterで知って来たこと、長崎から鉄道旅をしてることを思わず話しちゃったのです。奥さんはそうなんですか!と嬉しそうに話を聞いてくださりました。「旅はいいよね」「阿波おどり、ぜひ来てみて!」「知り合いに長崎出身の人がいるんだけど…長崎行っちゃおうかな 笑」などとってもキュートな奥さん。ちなみにそのときだいちょまんは「かまぼこ屋さんで働いてる」と聞かれてもないのに嘘をついてしまいました。当時は失業中の身。無職と正直に答えて変に気を遣わせてしまうのではないかというエゴが働いてしまったからなのでした。この場を借りて、ごめんなさい。うどんを食べていると、奥さんが「どれかお好きなおにぎり、どれか選んで…どうぞ(^^)」と勧めてくれたのです。ラップに包まれた三角形の色とりどりのかわいいおにぎりのなかから選んだのは『ゆずみそ』おにぎり。「もしよかったら…」とおにぎりと一緒に渡されたのは、ポテサラ、だし巻き玉子、トマトが入った小鉢。ここまで優しくしていただいて頭が下がるばかりです。。胸一杯になりながら、完食。帰り際に奥さまから「いいこと、ありますように」と。ごちそうさまでした。いつになるかわからないけど、夏になったら阿波おどりを観に行きたい。もちろん、食事は『セルフうどんやました』で。長崎のお土産にかんころ餅を持っていこうかな 笑




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