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ヒューマシン

以前勤めていた職場でのこと。板かまぼこを作る仕事で、なかなか言うことを聞いてくれない年季の入った機械相手に苦戦することが多かった。特大しゃもじですり身を投入し、型から形成された蒸す前のかまぼこに泡が入っていないか確認し、板に赤と白のバランスは狂っていないかとか、かまぼこを包むフィルムはまだ残っているかとか、そして、機械の老朽化に伴うハプニングを察知するのが一番大変で、広範囲にわたってチェックしなければならなかった。一人立ちできるまでは工場長が監視していて、だいちょまんが失敗する度に怒声が飛んだ。もちろん、怒られるのは当然だ。昨日できたことが今日できないのであればイメトレと集中力が足りないのだから。ま、だいちょまんは何回も失敗して身体に叩き込まないと覚えられない質なのではあったが。

ある日、ラインの一部分でかまぼこが渋滞を起こして床に落としてしまうハプニングに気付くのが遅れてしまった。作業は中断し、いつものように血相を変えた工場長による長い長いお説教を受けることになった。同じことを何回も何回も繰り返して恫喝する工場長のお説教なんて、脳が思考停止しちゃうような怖さだったんだけど、この日の発言だけはなぜか鮮明に覚えている




工場長『いいか、機械が仕事をしてくれているんだぞ。この機械が、君の仕事を作っている。君の仕事はなんだかわかるか。機械が間違ったことをしないようにちゃんと監視を続けることだ。君は管理者なんだ。君は仕事をしていない、仕事をしているのは機械だということを忘れるな!』





だいちょまんは大学時代に経済を専攻した。マルクス資本論も学び、機械が人間の仕事を奪ったことでイギリスの労働者が起こしたラッダイト運動があったことなども教わった

だいちょまんは手に職を持った職人を目指してかまぼこ製造の道を選んだ。それがなんと、この職場で仕事をしている主役は機械とは!あくまで人間は機械のサポート役。ここにいても職人になることなどできやしなかったのだ!だいちょまんは完全に見通しの甘ーい甘い、甘ちゃんだった。気付くのが遅すぎた。大学で4年間も勉強したにも関わらず、皮肉にも、身をもって機械の怖さを知ることになった

これから数ヵ月後、だいちょまんは工場長との口論の末、一年足らずで工場を去ることになった。工場長にはかなり引き留められたけど、それ以外の皆さんは『気付くのが遅いよ』と笑いながら送り出してくれた。学生時代にまともに就活もやらず、とりあえず働いて、職人になって自分の存在価値を感じることができれば最高じゃないかと卒業式前に焦って就職した結果、この有り様だ。でも後悔だけでなく、学んだこともたくさんあって得たものも多い。周りにめちゃくちゃ迷惑はかけているけどね



…そんで、なにが言いたかったって言うと、、



夢は、マシーンに負けない、だいちょまんにしかできない仕事をすることっ!




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(だいちょまんを苦しめたかまぼこマシーン。仕事をくれてありがとう。よくよく考えたらだいちょまんは機械オンチでした)

(だったらその工場で自分にしかできないことやってみたらよかったじゃないか…と考えたりもしたけど答えは出せていない)

(これからも急速に発達するマシーンと手を取り合って仕事をする時代。でもヒューマンの可能性はもーっと未知数だ!)