大人も勉強しなくちゃいけないの?

初めて入る、小さな図書館

『あ…この本、FUJIPONさんがブログでレビューしてたような』という理由で一冊の本を手に取る

続 子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?

続 子どもはなぜ勉強しなくちゃいけないの?

あさのあつこさんや、五味太郎さん、ロザンの宇治原さんなど7人の識者による話がまとめられていた

全ルビの“子ども編”と“大人編”に別れていて、すこしだけ語り口が変わっていたりもする





ひととおり読み終える

途中、めまいがしそうだった

劇作家平田オリザさんの頁

16歳で世界一周旅行を成し遂げたオリザさん。そのための費用を稼ぐために15歳のときに渋谷の立ち食いそば屋さんでアルバイトをしていたそう。そのときの原体験を述べられていました

周りはみんなおっさんたちです。彼らは競馬と風俗の話しかしませんでしたから、共通の話題がありません。そうすると15歳なりに一生懸命考えるんです。唯一の接点はプロ野球だったんです。そうすると、プロ野球のことを普段以上に情報収集して、なんとか話を合わせようとするわけです。そういうことが大事です。大人になるとはそういうことです。


だいちょまんがかまぼこ会社に入社し、40歳のK先輩から板かまぼこの製造を教えてもらうことになった

この人にしか仕事を教えてもらえないのだから、どうにかして仲良くなりたいと思っていっぱい質問した

K先輩は“バカ“がつくぐらいの野球好きということがわかった

『これだけホームランを打ったんだぞ』という武勇伝も何回も聞いたし、昨日あったプロ野球放送から話が盛り上がることもあった

だいちょまんは大学時代にソフトボールをやっていたおかげで意気投合、K先輩が所属する野球チームに入部させていただくまでにもなった

それで仕事をだいちょまんに根気強く教えてくださって本当に助かったのを覚えている

ベテランの社員さん曰く、K先輩はかなりのやんちゃで手強い人だったそうだ

もうだいちょまんは辞めてしまったけれど、いまでもK先輩からたまにメールが来てやりとりしている







揚げてんぷらの芳さんとはおいしいちゃんぽん屋の話

パートの奥様たちとは料理の話

はんぺんのイトーさんとは噂話

伊達巻のたくやくんとは競艇の話

ちくわのおじいちゃんとは昔の話

みんなから恐れられていた揚げてんぷらのおにーさんとはコンビニラーメンの話





だいちょまんは話すのは得意じゃないけれど、質問するのと合いの手を入れるのは苦じゃないからいろんなひとといっぱいいっぱい話した


みんなそれぞれ歩んでこられた道があって語りたがっていた

工場っていうのは中途採用の人が多く、なにかをあきらめざるを得なくて自由もなく働いているという人がほとんどだった

その人たちがだいちょまんに聞かせてくれるものというのはなかには重いものもあった

しっかり相手の目を見て、話の端を折らないよう相づちをしながら






入社した当初は『どうせすぐ辞めるんでしょ』みたいな目もあった

でもそう思われるのが悔しくて、皆さんと馴染みたくて

人と仲良くなるためには、とにかく自分から話しかけにいくことだと思う






そうはいっても、だいちょまんにもついていけない話題、というよりついていきたくない話もあった

工場のおっちゃんたちの話すこととは大概、オリザさんの言うように競馬と風俗の話ばかりだった

あとスマホゲームとどれだけ酒を飲んだかの話も

充満するタバコの煙に包まれてなんの生産性もない話が聞こえてくるのが嫌で嫌でたまらなかった

そんなときは休憩所を飛び出して、板かまぼこの倉庫で隠れながらウォークマンを大音量で聴いていた

椎名林檎の『孤独のあかつき』を聴いて泣きたくなることもあった

そのときに思ったけど、ずっとここにいたら身体のなにもかもが錆びれていきそうで怖かった

ここにはずっといちゃダメだって身体が電波を飛ばしていた









必死に必死に働いて、こんなの割りにあわねーよなんて愚痴りながらも我慢しながら働いて、お金をもらって生きていくのは本当に大変で凄いことで

でも生きていくために思考停止してしまうのはすごく悲しい現実で




『お前なんかにはこれっぽっちも才能なんてねーんだよ!いつまでも夢見んなよ!』

わかってる。わかってるけど…





『いーや分かってない。そもそもお前、自分になんの才能がありそうか考えることすら辞めてるだろ?ま、同じ作業を毎日毎日繰り返すライン作業は、いろいろ妄想してるお前にゃ向いてないってゆーことはわかったけどな 笑』


…。




『ほらー、いつものようになにも答えられない 笑 言葉にして思いを伝えられるようになるためにはどうすればいいんだっけ?』





…勉強するよ!






孤独のあかつき

孤独のあかつき